2025/08/10
「部屋が乾燥するから加湿器を置こう。どうせならパワーの強いものを選んでおけば安心だよね」
こう考える人は多いと思います。でも実際のところ、加湿器は強ければ強いほど良いというわけでもないんです。今回は、当社で扱っている業務用加湿器を例に、オーバースペックで起きる問題についてお話しします。
業務用加湿器のカバー範囲
まず前提として、当社の業務用加湿器がカバーできる広さは、木造建物で約25畳、鉄骨プレハブ建物で約42畳ほど。100畳や200畳といった大空間を1台でまかなうのは明らかに力不足ですが、逆に4.5〜5畳程度の部屋で使うのは完全にオーバースペックです。
「カバーできているなら別にいいのでは?」と思うかもしれません。ところが、オーバースペックならではの困りごとがあります。
加湿能力自体は問題ない
よく誤解されるのですが、加湿能力に関しては狭い部屋で業務用機を使っても湿度が上がりすぎる心配はほとんどありません。湿度40〜60%に自動調整してくれるモードがあるからです。
むしろ加湿能力が大きい分、タンクの水を補充する頻度が減って楽になるというメリットもあります。この点は安心して大丈夫です。
困るのはサイズと音
では何が問題かというと、まずサイズです。
当社の業務用加湿器は41cm × 45cm × 34.8cm。数字だけ見るとそこまで大きく感じないかもしれませんが、4.5畳や5畳の部屋に置くとなると話は変わります。ベッドやデスクの配置が制限されたり、動線が狭くなったり、加湿器だけやたら存在感が出てしまったり。小さな部屋での40センチ角は、想像以上に場所を取ります。
もうひとつの問題は音です。業務用といっても静音性はかなり優秀で、15dB(ほぼ無音)から35dB(小声レベル)程度の運転音に抑えられています。ただ、4.5〜5畳くらいの空間だと、どうしても耳に入ってきやすい。加湿器との距離が近くなるうえ、音の逃げ場が少ないからです。
30畳クラスの空間なら気にならない音量でも、5畳だと条件がまったく違います。加湿器の音が大きいわけではなく、部屋が狭いから相対的に気になってしまうということですね。
小さい空間なら家庭用モデルで十分
ここまで業務用加湿器の話をしてきましたが、当社のモデルは気化式(ハイブリッド)です。4.5〜5畳の空間で使うなら、業務用ではなく家庭用の小型機をおすすめします。
また、近くに幼児や高齢者がいなければスチーム式も選択肢になります。スチーム式は加湿スピードが速く、冬の乾燥対策にはかなり優秀です。
※スチーム式はポットと原理が同じで熱くなりますので、小さな子どもやお年寄りがいる環境では避けたほうが無難です。
オーバースペックな加湿器の問題は、能力ではなく「部屋の広さとのミスマッチ」にあります。加湿能力自体は問題ないものの、狭い部屋だとサイズの圧迫感が出たり、音が気になりやすくなります。
結局のところ、必要な広さに合ったものを選ぶのが一番快適です。加湿器選びで迷っている方は、部屋の広さ、生活動線、使う人の環境——この3つをセットで考えてみてください。
