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高齢者施設で加湿器を使う際のリスク|利用者特性と施設環境から考える

time 2026/02/01

高齢者施設での加湿器使用は、「利用者特性」と「施設運営」の2つの視点からリスクを考える必要があります。この記事では、免疫低下や認知症といった利用者特性がどのようなリスクにつながるか、超音波式・スチーム式・気化式それぞれで「何を怠るとリスクが顕在化するか」を整理しました。

冬季の乾燥対策として、高齢者施設でも加湿器を導入するケースは多いと思います。しかし、一般家庭での使用とは異なり、高齢者施設には特有の配慮が求められます。

この記事では、加湿器の一般的な注意点ではなく、「高齢者施設だからこそ」気をつけるべきポイントに絞って整理します。


利用者特性から生じる加湿器使用上のリスク

高齢者施設の利用者には共通する特性があり、それぞれが加湿器使用時の固有のリスクにつながります。「なぜ高齢者施設では特別な配慮が必要なのか」を理解するために、主な特性とリスクの関係を見ていきましょう。

免疫機能の低下と感染リスク

加齢に伴い免疫機能は低下します。そのため、加湿器内で繁殖した細菌やカビを吸入した場合、健常者より重症化しやすいという問題があります。特にレジオネラ肺炎過敏性肺炎は、高齢者では命に関わる感染症となる可能性があり、加湿器の衛生管理が直接的に利用者の健康を左右します。

呼吸器疾患との関係

高齢者施設では、COPD、喘息、誤嚥性肺炎の既往がある方が少なくありません。こうした方々は、汚染されたミストや不適切な湿度環境の影響を受けやすく、症状悪化に直結しやすい傾向があります。加湿器の導入が「良かれと思って」行ったことでも、管理次第では逆効果になりうる点を認識しておく必要があります。

認知症の方への配慮

認知症の利用者がいる施設では、加湿器に触れる、倒す、蒸気口に手をかざす、タンクの水を飲もうとするなど、予測困難な行動が起こりえます。危険の認知や回避が難しいため、機器の選定だけでなく設置場所にも十分な配慮が求められます。なお、多くの業務用加湿器にはチャイルドロック機能が搭載されており、誤操作防止に役立ちます。

身体機能低下と事故リスク

身体機能が低下している方は、熱い蒸気や転倒した機器から咄嗟に身を避けることが困難です。若年者であれば軽微な接触で済むような場面でも、反応が遅れることで被害が大きくなりやすい特性があります。

皮膚の脆弱性

高齢者の皮膚は乾燥にも過湿にも影響を受けやすい状態です。湿度環境の変動が皮膚トラブル(乾燥・かゆみ・湿疹様変化など)につながりやすいため、「加湿すれば良い」という単純な話ではなく、適切な湿度帯を維持する視点が重要になります。過加湿による結露やカビの発生にも注意が必要です。

医療機器との相性

在宅酸素療法中の方がいる場合は火気扱いへの注意が必要ですし、人工呼吸器を使用中の方では機器への水分付着が問題になることもあります。加湿器との相性は利用者ごとに個別検討が必要であり、一律の対応では対処しきれない場面があります。


加湿器の方式別リスク特性(高齢者施設で使用する場合)

ここでは一般的なメリット・デメリットではなく、「高齢者施設で、上記の特性を持つ利用者がいる環境で使用するからこそ」生じるリスクを整理します。

【前提】どの方式も適切に管理すれば使用可能です。重要なのは「どの方式が危険か」ではなく、「どの条件でリスクが顕在化するか」を理解することです。

超音波式

超音波式は、免疫力の低下した利用者への感染リスクに特に注意が必要です。タンク内の細菌・カビがミストとともに室内に放出され、吸入による健康被害につながる可能性があります。近年は加熱機能を加えたハイブリッド超音波式も登場し、衛生面での改善が進んでいます。

このリスクは、タンクの水を毎日交換しない場合や、定期的な清掃・消毒を怠った場合に顕在化します。逆に言えば、毎日の水交換と定期清掃を徹底できる体制があれば、リスクを抑えた運用が可能です。

スチーム式(加熱式)

スチーム式は煮沸により菌が死滅するため衛生面では優れていますが、高齢者施設では熱傷リスクが最大の懸念事項となります。蒸気口の高温部への接触や、本体転倒時の熱湯流出による被害が考えられます。

利用者の手が届く場所や動線上に設置した場合、転倒防止策を講じていない場合、認知症の方の居室で安全対策なく使用した場合などに、このリスクが顕在化します。

気化式

気化式は過加湿になりにくく熱傷リスクもありませんが、フィルター管理が重要になります。フィルターが汚染すると、臭い・カビの発生や衛生不安につながり、胞子や微生物由来成分が気流に乗って室内側へ出る可能性があります。

フィルターの交換時期を超過した場合、濡れたまま長時間放置した場合、清掃せず連続運転を続けた場合などに、呼吸器疾患のある利用者への影響が懸念されます。

ハイブリッド式

ハイブリッド式は状況に応じた運転ができる反面、構造が複雑なため管理の難しさがあります。どの部分の管理が不足しているか把握しにくく、取扱説明書通りの手入れができていない場合や、清掃担当・手順が曖昧な場合にリスクが見えにくい形で蓄積していきます。

方式を問わず共通するリスク条件

スチーム式を除くすべての方式に共通して、以下のような運用は衛生上のリスクを高める要因となります。水の種類と衛生リスクについても参照してください。

リスクを高める運用 なぜ問題か
残り水への継ぎ足し 古い水に細菌が繁殖しやすい。毎回の全量入れ替えが原則。
使用後の水の排出・乾燥ができていない 湿った状態が続くとカビ・雑菌の温床になる。
メーカー推奨外の水を使用 長期保存水、井戸水、利用者や家族の持ち込み水などは水質が不明確。

高齢者施設という環境で生じる運用上の注意点

一般家庭での使用と異なり、施設には「複数の利用者」「複数の職員」「24時間の運営」という特性があります。この違いが、加湿器の運用に施設固有の課題をもたらします。

共用スペースと居室の違い

共用スペースは不特定多数の利用者が過ごす場所です。そのため、最も配慮が必要な方(免疫低下、呼吸器疾患など)を基準にした機種選定・設置場所の検討が求められます。一方、居室では個別の利用者特性(認知症の有無、医療機器使用の有無など)に応じた対応が可能であり、また必要でもあります。

利用者の行動範囲と設置場所の関係

設置場所を決める際には、認知症の方の徘徊動線を避けること、車椅子・歩行器利用者の移動の妨げにならないことを確認します。「手が届かない」だけでなく、「つまずかない」「ぶつからない」という視点も重要です。コード類の処理にも注意が必要でしょう。

複数台運用と管理の複雑さ

施設では複数の加湿器を同時に運用することが多くなります。台数が増えるほど「どの機器を・いつ・誰が清掃したか」の把握が困難になります。機器ごとの管理状況を可視化する仕組み(チェック表の掲示、機器へのラベル貼付など)を導入し、管理の抜け漏れを防ぐ工夫が必要です。特別養護老人ホームでの導入事例では、40台の加湿器管理における課題と解決策が紹介されています。さらに、複数施設での導入事例(合計15台の運用例)も、台数・保管・管理負担を検討する際の参考になります。

交代勤務と管理の継続性

日勤・夜勤の交代がある施設では、管理業務の引き継ぎが曖昧になりやすい傾向があります。「気づいた人がやる」という運用では、結果的に誰もやらない状況が生まれがちです。担当と頻度を明確にした運用ルールを定め、シフトに組み込む形で管理を継続させる仕組みが求められます。

感染対策上の位置づけ

加湿器は「感染予防のための設備」であると同時に、「管理不備により感染源になりうる設備」でもあります。この両面性を理解したうえで、施設の感染対策マニュアルに加湿器の管理を明記し、定期的な確認項目に含めることが重要です。


まとめ

高齢者施設での加湿器運用は、方式選びだけで安全が決まるものではありません。
利用者特性(免疫・呼吸器・認知・身体機能・皮膚・医療機器)と、
施設環境(共用空間、動線、複数台、交代勤務)が重なることで、リスクの形が変わります。
だからこそ、加湿器は「置けば終わり」ではなく、運用設計(清掃・記録・引き継ぎ)まで含めて管理する設備として扱うことが重要です。

実際の導入検討では、「どの程度の台数・どの運用体制で回すか」までイメージできると判断が早くなります。導入パターンの参考として、高齢者介護施設でのご利用事例や、業務用加湿器レンタル(福祉施設向け)もあわせて確認してみてください。

この記事のポイント

1. 利用者特性を理解する
免疫低下、認知症、身体機能低下など、それぞれの特性がどんなリスクにつながるかを把握する。

2. 方式ごとのリスク条件を知る
「どの方式が危険か」ではなく「どの条件でリスクが顕在化するか」を理解する。

3. 施設運営の視点を持つ
複数台管理、交代勤務、設置場所など、施設ならではの課題に対応する。


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この記事の著者

うるぼく

うるぼく

レンタルのロームの代表者

2019年にレンタルのロームを立ち上げ、高齢者施設・幼保、オフィスなど、室内で利用する清潔で綺麗なレンタル製品を取り扱い開始。本サイトでは加湿器に特化した情報・気づきを発信し、室内と社会全体に潤いをもたらそうとしています。加湿器使用歴20年、加湿器取り扱い歴6年。

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