2025/08/10
以下をアップしました。
最後でも触れていますが、超音波式の加湿器市場での今後の立ち位置について少し補足を。
シロカが2025年11月に発売予定の「加熱超音波式加湿器(SD-5HC151)」は、新モデルというよりも、超音波式という方式そのものの転換点を示す製品かもしれない。
従来の超音波式加湿器は、静かで省エネというメリットを持ちながらも、「水をそのまま霧化して放出する」という構造上の理由から、タンクや水路内の雑菌が繁殖しやすいという課題を抱えていた。もちろんそれは、ユーザーのお手入れ不足に起因する部分が大きい。しかし、市場としては「不衛生になりやすいのでは」という懸念が根強く存在してきた。
そうした中で登場したのが、この「加熱超音波式」だ。
これは、超音波式にヒーター加熱を組み合わせ、約75℃以上に加熱して除菌した水をミスト化するという仕組みを採用している。さらに抗菌加工や銀イオンなども加えた「トリプル除菌構造」で、従来の懸念を大幅に低減する狙いが見て取れる。
言い換えれば、メーカー自身が「衛生性」を超音波式の競争軸として明確に打ち出し始めた、ということだ。
それは裏を返せば——
市場が“静音・省エネ”だけでなく、“衛生面”を重視する段階に入ったということでもある。
今後は、「超音波+加熱」や「抗菌素材」などを組み合わせた製品がスタンダード化し、従来型の非加熱超音波式は次第に縮小していく可能性もあるだろう。
加湿器は“空気の質”を扱う家電である。
この分野における「衛生性」の重視は、一時的なトレンドではなく、今後の製品開発の方向性そのものを象徴しているように感じる。